妻の病歴②
再発から、また抗がん剤治療。再び、嘔吐、下痢、何でもござれの治療開始。忍耐で耐える。しかし、今度は腫瘍マーカーが下がらない。ほんとは妊娠していたのではないか?疑問が渦巻く。臨床的にはありえない。
効くか効かないかわからない治療。妻もよく耐えた。もう何度、嘔吐し、寝込んだことだろう。
妻も私も、周りの方のサポート、私に関しては、趣味のスポーツ・先輩・後輩のおかげで日々過ごせていた。
効かない治療、その原因がある日わかった。何気なく見ていただいた読影の先生から、「主膵管がわずかに拡張している。」とのレポート。まさか。確かにCA19-9も微増していた。
仕事の合間を見て、セカンドオピニオンを繰り返した。
確定診断の結果、膵腺癌だった。幸いステージⅡ。(後にⅢに変更。)
神仏はこの世にあるのか。
術後、ほどなくして再発。好発部位のリンパ節に転移していた。
アブラキサン(nab-ptx)を始めた。副作用がひどい。手のしびれ。全身倦怠感。
そんなこんなが2年間。笑顔を失っていく妻に癒されない自分。眠いか痛いしか言わない。フラストレーションがたまっていく自分。結婚して初めて手を上げそうになった。泣いた。限界を感じた。
老々介護で相手を殺してしまう、気持ちがよく分かる。
大事にしているからこその行動だと思う。自分に変な偽りの優しさがなければ、妻を実家に送り返し、介護放棄しているだろう。だが、どうしてもできなかった。
そして現在。ついに、背部痛を訴え始めた。
内臓神経ブロック施行。著明な効果なし。
この病気のおそろしさは、寝ているときに痛くなるという点。昼間つらいから、寝ようとすると激痛で寝られない。こんな地獄があるだろうか。痛い痛いと繰り返す。麻薬を投与しているがこんな状態。昼間は眠い。かわいそうすぎる。
マオさんの訃報。これは堪えた。海老蔵さんは俺と同じ年。本当につらい。
昨日、訪問看護がスタートした。あんなに気丈であった妻が、過呼吸を繰り返し、不安発作を起こし、メンタル崩壊している。私も2年前から不眠・不安で安定剤を服用しているが、まさか自分と同じになるとは夢にも思わなかった。